分野を問わず、文献を調査し、満足感を高める。学問は日々の積み重ね、小さくても少しずつ。
twitterの「今週の知的探求」と連動した企画です。
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目次
趣旨
せっかく読んだ論文もメモとか取っておかないともったいないですよね。
ここに印象的な部分などをメモしておきます。
※論文の内容をすべて理解したわけではないことが多いです。タイトルだけ見て、面白そうだと思って中をのぞいてみただけとか結構あります。悪しからず。
もし、論分の詳しい内容を知っていたらコメントなどしていただけるのは大歓迎です!
諏訪湖の結氷・御神渡り発生と気象条件の関係
著者:三上 岳彦, 林 あゆみ, 平野 淳平, 長谷川 直子
諏訪湖の御神渡りから歴史時代の気候を推定するために、近代以降の御神渡り記録と気候の関係を解明する。
この発表要旨によれば、1924年から2023年の100年間の気候データを用いて、御神渡りの発現と気候の関係を解明し、御神渡りの記録から近代以前の気候を復元を目指す。
二つの結果。
- 結氷日の二日前から気温が低下。結氷日当日が最も冷え込む。当日の気温は1985年までは約-11℃、86年以降は約-9℃
- 御神渡り発現には日気温較差が重要。二日前、一日前、当日の日気温較差はそれぞれ、85年までは約10.5℃ , 約11.5℃ ,約12℃であり、86年以降は約10℃ , 約9.5℃ ,約9.5℃である。
86年を境に、気温の上昇と日気温較差の縮小が見てとれ、御神渡り発現の条件が満たされづらくなっている。
コメント・疑問
研究の目的として、歴史時代の気候復元があったが、干拓などによる湖の面積の変化が近代以降のデータでは考慮できないのではないか?
地質学的な気候調査などの他の観測と比較した場合はどうなのか?
御神渡り発現付近の数日分の気候復元が「当時」の気候をどこまで反映していると言えるのか?
引用
三上岳彦・林あゆみ・平野淳平・長谷川直子:「諏訪湖の結氷・御神渡り発生と気象条件の関係」,日本地理学会発表要旨集,2025s,セッションID: 834,2025年.https://doi.org/10.14866/ajg.2025s.0_251
DOI https://doi.org/10.14866/ajg.2025s.0_251
遺跡保存の経済効果-吉野ヶ里・三内丸山を事例に-
著者:澤村 明
吉野ヶ里遺跡は1989年から1994年までの5年間で公共投資56億4000万円に対し、波及効果48億8000万円。
つまり、56億4000万円の投資で、「56億4000万円+48億8000万円」の経済効果を上げている。
三内丸山遺跡は整備期間の10年間で公共投資33億7000万円/year に対し、波及効果40億1900万円/year、整備完了以降は公共投資3億7500万円/yearに対し、波及効果26億8800万円/yearを試算している。
以上のような経済効果はある程度見込まれるが、県全体の観光客数や観光消費の観点からマクロな有意性にはなっていない。
後回しにされがちな遺跡保存・公園整備事業としては大きな成果。
ブームが去った後の客層を考慮した持続可能な遺跡利用が必要。
コメント・疑問
この当時の試算では、年間来場者数を吉野ヶ里遺跡は約80万人、三内丸山遺跡は約50万人で見ているが、現在は吉野ヶ里遺跡がここ数年で年間60~70万人、山内丸山遺跡では2024年に38万人となっている。ブームが去った後の観光客減少まで含めた持続可能な遺跡保存・利用は必要。
公共投資の経済効果の評価基準として「公共投資+波及効果」を見ているが、適切なのか疑問に思った。公共投資を支えているのが地域の税収であるなら、利益を上げなければジリ貧になっていくのではないか?
引用
澤村明:「遺跡保存の経済効果 ―吉野ヶ里・三内丸山を事例に―」,文化経済学,3(1),37–47,2002年.https://doi.org/10.11195/jace1998.3.37
DOI https://doi.org/10.11195/jace1998.3.37
まとめ
今回は「遺跡保存」という分野についても少し調査してみた。人口減少社会における一つの課題として、歴史好きならば目を逸らしてはいけないのかもしれない。あとは諏訪湖の御神渡りをいつかこの目で見たい。