甲陽軍鑑大成の存在を知り、今回は龍勝院研究の一環として調査に向かった。

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甲陽軍鑑大成
甲陽軍鑑は武田家の研究において非常に重要な書物であり、勝頼の妻・龍勝院についての数少ない記録を残すものでもある。甲陽軍鑑における龍勝院。 甲陽軍鑑において登場するのは龍勝院自身ではなく、「遠山夫人」に関する記述です。龍勝院は遠山夫人と同一人物であると考えられている。
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「甲陽軍鑑大成[1]」は酒井憲二氏の研究に基づいてまとめられた、大成の名に恥じない書物のようなのだが...
悲しいことに手に入らない。
特に「研究編」と銘打たれた第4巻には、何かしら龍勝院に関わる「研究」が議論されているかもしれない。なんとか一読してみたいと思った。
そんな「甲陽軍鑑大成」の「4~7巻」が我らが名古屋市の「鶴舞中央図書館」に置かれていることを知ったので、今回は調査に向かった。
第4巻「研究編」について
ざっと見た感じだが、「第4巻研究編」に書かれている内容は「史料研究」についてのようだった。史料の成立や仮名遣い、誤記などの議論が書かれており、「記述内容」に対しての議論ではなかった。
つまり、龍勝院に関する新しい発見などは得られなかったということである。
ただし、成果がなかったと悲観的になるわけではなく、むしろ龍勝院研究のさらなるモチベーションを得たとも言える。
鶴舞中央図書館での資料探し
鶴舞中央図書館での資料の探し方がわかっておらず、苦戦したのでここでその苦闘を赤裸々に記録する。
まず、事前にネットで蔵書検索を行い、鶴舞中央図書館に蔵書があることを突き止めていたのは大正解だった。
名古屋市図書館蔵書検索
問題は現地に着いてから。まず、地下鉄鶴舞線「鶴舞駅」で降りて鶴舞公園出口から出たところ、「図書館がどこにあるかわからない」という問題に直面。鶴舞公園が広すぎる。
次に図書館に入り、2階の人文図書エリアに置かれているという事前情報に基づいてそこに向かった。その後ネットで調べた「資料番号」を探していたが、これがミス。図書館の資料は「請求番号」で並んでいるのに気づかなかった。
なかなか見つからないので、資料番号を間違えているかと思い、図書館に設置されている「蔵書検索PC」を使うことにした。しかし、ここにも罠が...
なんと、「かな入力」になっているのだ!「こうよう(kouyou)」と打とうとすると「のらなんらな」と出力されるのだから驚いた!かな入力なんて使ったことがないから焦る。PCの横に「Alt+かなキー」でローマ字入力に戻ると説明書きがあったので一安心、と思いきやキーが効かない...。
泣く泣く、別のPCのところへ行き、そこで「請求番号」で蔵書が置かれているとという札を発見...。
俺の恥ずかしい苦労でした...。
鶴舞中央図書館の現状
土曜日に訪れた鶴舞中央図書館では、利用者は比較的高齢の方が多いように見えた。 蔵書検索PCが「かな入力」になっている点なども、その一端を示しているのかもしれない。
一方で、「甲陽軍鑑大成」のような貴重な資料が一般図書館で利用できる環境は非常に価値が高く、 若い人たち(中学・高校・大学生)がこれらの資料に触れることは非常に大きな経験になるはずだ。
図書館を使いたくなる要素について考えてみた。
- 蔵書の豊富さ
- 研究テーマや問題意識を持っている
- 時間的・経済的余裕がある
「蔵書の豊富さ」はまさに図書館自体の価値と言える。学校の図書室レベルでは不足しがち。鶴舞中央図書館や名古屋大学附属図書館レベルの規模になると、やはり格が違う。
そもそも図書館利用は図書館の価値だけで決まらないと思う。「研究テーマを持つ・問題意識を持つ」ということは図書館利用の強い理由となるだろう。
かく言う俺も大学院博士課程まで進んで「研究」を経験し、「龍勝院」という研究テーマを最近になって手に入れたからこそ、「図書館の貴重さ」を理解できるようになったように感じる。
そして最後は持っている研究テーマを調査するだけの「時間やお金の余裕」があるかないかである。
こう見ると、図書館の価値に気づくかどうかは、「研究テーマに出会うまでの距離」と「調査に必要な時間の重さ」が決めているのかもしれない。それが結果的に若い人ほど図書館から遠ざかってしまう原因になっているのかもしれない。
「龍勝院研究」から「みんなの龍勝院ちゃん」へ
龍勝院研究を通して何かできることはないか。
図書館の蔵書は個人でどうにかできる問題ではないが、「龍勝院研究」などの研究テーマを共有することはできる。それと、直接「時間や金銭の援助」をすることはできないが、今回のように図書館の利用法を共有したり、史料調査の方法を公開することが間接的にサポートすることになるのではないかと考えた。「時間的余裕」を「研究手法のマニュアル」を用意することで「手助けする」というわけだ。
龍勝院ちゃんが「みんなの龍勝院ちゃん」になれば、図書館をもっと多くの層の人が使いたくなるかも?
まとめ
甲陽軍鑑大成の4〜7巻を覗いてみた。1~3巻もどこかで調査しなければなるまい。
これほど珍しい資料を置いている図書館が身近にあることのありがたさを再度確認するいい機会となった。図書館利用は何か研究テーマがあると大きな価値を持つようになると思うので、龍勝院ちゃんには感謝である。
少し真面目に図書館利用の現状と龍勝院研究の可能性を議論してみたが...
やはり龍勝院ちゃんは俺だけの龍勝院ちゃんでいて欲しいのだ!!

参考文献
[1][高坂昌信原著] ; 酒井憲二編著. 甲陽軍鑑大成 第1巻 第2巻 第3巻 第4巻 第5巻 第6巻 第7巻 第5巻(影印篇 上) 第7巻(影印篇 下) 第6巻(影印篇 中) 第3巻(索引篇) 第4巻(研究篇) 第1巻(本文篇上) 第2巻(本文篇下), 汲古書院, 1997. 4762932981 476293299X 4762933287 4762933295 4762933929 4762933937 4762933945. https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000136-I1971430859792746563